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A320NEOに賛否両論 [エアバス]

エアバスはA320NEOファミリーを確約し受注を獲得し始めたが、一部の業界評論家は新しい派生型機を作ることに懐疑的だ。
12月に動き始めたA320NEOは2016年までに就航の予定だ。これにはCFMインターナショナルもしくはプラットアンドホイットニーの新型先進エンジンが搭載される。今月に入ってエアバスはこのエンジン換装機の最初の2つの顧客を公表した。インドのローコストキャリアのIndiGoとバージンアメリカで、180機の契約に署名している。
航空機ファイナンスに関するエアライン事業の影響の特別講演で、DVB銀行のバート・ファン・リーエン航空調査部長は、A320neoは長期安定している単通路機の価値をひっくり返すと考えている、と述べた。彼によるとこの機体の導入は、「航空機リースの黄金期」に終わりをもたらすといい、エアバスとボーイングの狭胴機の将来価値に自信を持って数百万ドルを投資して来た投資家の平衡バランスを不安定にすると言う。
しかしながらエアバスの将来戦略を担当するクリスチャン・シェーラー専務はこの様な意見を退け、機関投資家のビジネスモデルを破壊する理由がない、という。「私はエアラインに対して燃料の請求が15%削減できると言うし、不確かであればこんなことは言わない。」「投資家に顧客はエアラインであり、エアラインは15%の燃料削減にひかれてNEOを買うだろう。」という。
その一方でライアンエアの副社長兼最高財務責任者のハワード・ミラー氏は、機体メーカーは中つなぎのアップグレードではなく、革新的な新型機の開発に集中すべきだと考えている。
ミラー氏はNEOを’おもしろい取り組み’だと表現するが、開発期間が’長すぎ’で、金は新型後継機に使う方がよいとだと考えている。
「長い目で見ると、アップグレード機への投資は、全くの次世代機の開発に使う方がいい。」という。
「それによって複合材とエンジンの最新テクノロジーを享受することができ、本当に相当の費用削減ができる機体を手に入れることができる。ただし技術的な観点から見れば、2020年以降まで待つことになる。」
(2/2 Flightglobal)

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バージンアメリカが初のA320NEOの正式顧客に [エアバス]

バージンアメリカがA320New Engine Option(NEO)の最初の正式顧客として署名をし、この機材のリードオペレータになる。

VirginA320neo.jpg

7月のファーンボローエアショーでエアバスとバージンアメリカは40機の確定発注と20機のオプションに関する覚書を締結した。バージンアメリカの取引は12月29日に60機全てを確定発注することに決まった。発注は在来A320とNEOに分かれる。
今回の発注についてバージンアメリカは、「頭が痛くならずにメリットを享受できる新型機」だと、デビッド・カッシュCEOはいう。今ある機体を使うので、新型機でもリスクが少ないという。
バージンアメリカの発注は在来型30機とNEOが30機ずつだが、来年取付可能になるウィングレットとともに購入された。
エアバスにとっても10,000機目となる記念すべき取引だ、と同社のトム・エンダースCEOはコメントした。
(1/17 Aviation Week)
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A380エンジン爆発事故 - パイロットのインタビュー(最終回) [エアバス]

A380エンジン爆発事故 - パイロットのインタビュー(最終回)
記者:そして着陸したのですね。報告書によると一つのエンジンが回ったままだったとか。
機長:最も心配だったのは滑走路に止まったときでした。消防士とは滑走路の端で落ち合うことになっていて、その通りしてくれました。通常通りにエンジンをシャットダウンしました。先ほど言った通りAPUを作動させましたが、電力を供給してくれませんでした。このため機体はエッセンシャルパワーというバッテリーだけの電力で、一つのVHFトランシーバーが使えるだけでした。これは地上にいた消防指令官の役に立ちました。彼はエンジンが一台回ったままだと伝えてきました。このためエンジンが回った状態で機体に近づくことに躊躇していました。また左の翼から燃料が高圧で漏れていることも伝え、止まるためにブレーキを最大にかけたので、ウィングギアの温度は摂氏900℃になっており、熱いブレーキの上に燃料がそのままかかっていたのです。われわれは本気で火災を心配し、消防士たちに近くに寄るよう説得し、結果そうしてくれました。われわれはどうにかして第1エンジンを停止しようとしましたが、だめでした。

それからは乗客を落ち着かせるのに注力しました。機体にはエアコンがなく、シンガポールの正午近くだったので、機内は非常に暑くなってきました。衛星電話が使えなくなったので携帯電話でシドニーの会社に電話して、シンガポールの会社にタラップ車とバスを手配してもらいました。われわれは滑走路の4,000mの端にいて、最初のタラップ車が到着するまで1時間かかり、それから最後の乗客が機体を離れるまでさらに1時間がかかりました。燃料漏れとエンジンが回っている状態で、約2時間も地上にいたことになります。


Undercarriage.jpg
着陸後のメインランディングギア
消火剤が見える。ブレーキの温度は摂氏900℃に達した。

思い起こすと一番危なかったのは停止した滑走路端にいるときでした。我々はスライドを使って脱出することには心配をし、気を使っていました。433名の乗客がいて、お年寄りや車いすの方もいる中で脱出を始めれば、負傷者が出ることになったでしょう。乗客にとってどこにいるのが一番安全かということについて、コックピットで大いに議論しました。燃料や過熱したブレーキ、止まらないエンジンという状況下でした。本当に安全なところは、状況が変わるまでは機内にいることでした。したがって我々は客室乗務員にいつでもドアを開け、スライドを膨らませて脱出するようにさせておきました。時が立つにつれてその危険は薄れ、全員を一つのタラップからとても落ち着いて、順序よく降機させることができたのです。

記者:全員を機内に留めておくのは難しい決断でしたか。
機長:そうですね。ようやく無事に滑走路までたどり着いたのだから、誰にも怪我をさせたくなかったのです。難しい決断ではありませんでしたが、乗客にとって最も安全な場所を探すことは必要です。状況が変わるのであれば、それまで機内にとどまることは全員の一致でした。状況が悪くなったときに備えて、客室乗務員はすぐに動けるようにしていました。

記者:事故を通じてあなたは何を学び、カンタスは何を学びましたか。あなたや他のクルーが違ったことをすべきだったと思うものはありますか。
機長:5人もコックピットにいたときに起こったことで、もちろん学んだこともありましたが、あの日は出来ることを全部やったと思います。あとから考えてもあれ以上他に出来ることなかったと思います。’なぜあんなに長い時間飛んでいたのか’と良く聞かれますが、機体の状態を決めるために時間を費やす必要があり、実際にそれだけかかったのです。機内に全員残したのも正しい判断だったと思っています。状況が悪くなったらすぐさま脱出する用意もしていました。止まらなかったあのエンジンはそれから5時間も運転し続け、最終的に消防士が消火剤で消したのです。
学んだことといえば、カンタスはすごい音響システムを持っているということですね。2時間も空中にいたのでシドニーの危機管理センターに召集がかかりました。会社の立場でいえば、全てがうまくいきました。最初の報告は、我々が着陸したあとでさえも、機体が墜落したというものだったと思います。会社も認識しており、第2電力母線が故障し、衛星電話が使えなかったため空中で会社と直接話すことが出来ませんでした。遠隔通信を機体から受けて、まだ飛んでいると分かったようです。

記者:5人のクルーがコックピットにいました。通常の2名で対応できたと思いますか。
機長:おもしろい質問ですね。本当のことを言えば、どうやって答えたらいいか分からないですね。現実的には通常の乗員編成で我々がやったのと同じようにできるようにあってほしいです。我々はたまたま通常の運航パイロットに加えて決定を確認できる人間が二人いたに過ぎないわけですから。

記者:ということは、通常の人数で同じことはできて、少し時間がかかるだろうということですか。
機長:多分そうでしょう、おそらくね。ただし結果はまったく同じだったはずです。

記者:この先、カンタスやエアバスに訓練を変更させて、同じようなECAMメッセージをシミュレータでやるようなことを勧めますか。


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A380のセンターコンソール 中央MFDの警告に注目。着陸するまでにこれに全部目を通すのに2時間かかった。

機長:そのような質問もおもしろいですね。同じ状況をシミュレータで再現しようとしましたが、できませんでした。そのくらい特殊な日だったのです。無論、学ぶべきものは常にありますが、これまでの訓練が、我々はよく訓練されていることを証明しました。エアバスはシステムの見直しをすると思っています。なぜなら、我々のケースでいえば、例えば’重心限界超過’というメッセージが出て、水平尾翼から前方に燃料を移すことを促し、その後’水平尾翼からの移動不可’というメッセージが出るような変更があってもいいと思います。あるメッセージが別のメッセージと反対のことをいうようなことを考える、こんなことに立ち返って考えるべきだと思いました。でもことが終わると、常識とエアマンシップがそれを上回りました。我々は盲目的にECAMに従ったわけではないのです。我々はおのおのを尊重し、分析し、やるべきことを考えて、あえてECAM対応を実行しなかったり、そのまま対応をとったりしました。訓練の観点でいえば、機種は関係なく、エアマンシップが優先されるべきでしょう。実際、エアバスには黄金則があります。飛ばし、航路を見いだし、通信する。この順番にわれわれは従いました。

記者:エアマンシップを持ち出されたことはおもしろいですね。訓練・査察機長として、次世代のグラスコックピットしか知らないパイロットに個人的に心配していることはありませんか?


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デビッド・エバンス上席査察機長とハリー・ウーベン路線チェック機長

機長:もちろんです。経験にまさるものはありません。カンタスのように伝統のある航空会社では、多くの経験をつんだパイロットが潤沢にいます(最も若いパイロットからベテランまで、軍や小型機を問わず、かなりの経験を持っている)。何物にも代えられません。

記者:A380の生還度(Survivability)はこれまで乗務した機種と比べてどうですか。
機長:エアバスA380は、我々が地上に無事下ろすことができたというのがこの飛行機の対する証拠です。フライバイワイヤシステムは、損傷を受けてバックアップモードになっていたにも関わらず、まったく問題なく飛行できました。他の機種と比べてみると、ボーイングもまったく同じ様に飛べたと思いますが、もっと難しかったはずです。

記者:最後に、今回の件はこれまで経験した緊急事態の中でどのくらいのレベルですか。
機長:はるかに上ですよ!過去に事故に出くわしたことはあります。私は軍ではなく小型民間機の出身で、双発軽飛行機でエンジン故障に見舞われて、機体がうまく機能しなかったことがあります。でも今回はまったくもって飛び抜けています。
記者:ありがとうございました。

(12/6 Aerospace Insight)

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A380エンジン爆発事故 - パイロットのインタビュー(3) [エアバス]

機長:第2エンジンは停止させました。損傷の一部が第1エンジンと第4エンジンを劣化モードにしていました。エンジンはまだ作動していましたが、第3エンジンだけが通常作動しているエンジンでした。基本的に、これら全てに対応するには時間がかかり、次のメッセージは一連の油圧の問題でした。グリーン油圧システムはすべての作動油を失ったことが表示されていました。エアバスA380は二つのシステムを持っており、普通の飛行機と違ってほとんどの操舵面は油圧を動力源とせず、自身の電気油圧アクチュエータを使っています。グリーンとイエローシステムがあり、ブレーキやランディングギアの上げ下げのように役割を分けています。グリーンシステムがだめになるとノーズギアとボディギアを自重で下げることになります。グリーンシステムを失ったので、我々はこれに対処しましたが、なぜか第4エンジンの油圧ポンプが故障したという表示になっていました。信頼のおける第3エンジンだけがイエローシステムに油圧を送っていました。

記者:そのあいだ、’これがエンジン停止より悪い状態だ’ということが頭をよぎりませんでしたか。
機長:あまりに多くのメッセージが出るので混乱しました。我々がとれるのはECAMに従うという教訓だけであり、それぞれに対応していきました。エンジン停止を完了し、油圧システムへの対応を終えると、今度は操舵面の喪失に対応しました。これは電源を失ったことによるもので、第1と第2母線が故障していました。基本的にはECAMアクションを実施して、確認をし、どれが作動してどれが作動していないかを理解するだけでした。
次に燃料にとりかかりました。第2エンジンの燃料タンクから相当な量の燃料漏れがありました。第2副操縦士を客室に行かせて確認し、かなりの液体が機体後方に向けて流れ出ていることが分かりました。この時はまだそれが燃料なのか作動油なのかは分かっていませんでした。左右のバランス不均衡のメッセージが出始め、片側からだけ燃料が流れ出ていました。これらのメッセージは我々が対処しなかったものの一つでした。我々は配管の損傷を恐れていました。前部と後部のトランスファー配管で、無事なのか、燃料を移すべきなのか。やらないことにしました。
結果、左右で10トン近い大きな不均衡を抱えることになりました。やるのか、やらないのかの論議には時間をかけました。油圧システムの影響でブレーキの機能を一部失っており、ウイングギアのブレーキが緊急システムの蓄圧器のみになっていて、蓄圧器が空になってブレーキのエネルギーがなくなるまで3回か4回しかブレーキがかけられません。ウイングギアのアンチスキッドもありません。ウイングギアのアンチスキッドがないと、機体のノーズギアを接地してからウイングギアの圧力を1,000psiに制限することがとても大事になります。揚力があってウイングギアにすべての重量がかかっていないと、ブレーキがロックしてタイヤがバーストする危険を犯すことになります。
それから電気システムです。BUS1(母線1)とBUS2(母線2)の電力を喪失しています。APUを使おうとしましたが、ロードを持ってくれません。ただ燃料を消費するだけでした。第1エンジンの発電を止めました。
またやることが出てきました。高圧空気が漏れていたのです。大規模な空気漏れ、高圧空気漏れが左翼で発生し、第2エンジン抽気漏れと翼端での漏れもありました。漏洩遮断システムが作動し、漏れを止めてくれたのは幸いでした。


Engine-damage.jpg
乗務員は地上で、エンジンが完全に損傷していたことが分かった。

機長:ランディングギアのコンピュータが一つ故障しており、代替方法でランディングギアを出しても通常のロック表示はなく、システムページで確認する必要がありました。幸いなことにウィングギアは正常に下りていました。オートスラストでは第3エンジンを含む2つのエンジンが劣化モードに入っており、オートスラストは使えず、すべての推力操作は手動でした。換気やエアコン、冷却システムも故障していました。第1と第4エンジンが劣化モードに入っている状態で、これらを積極的に使用するかどうかを議論し、結局これらは一定の出力に保ったまま、唯一正常モードにある第3エンジンだけで機速を制御することにしました。
全てが整うと次は実際に滑走路で止まれるかどうかを考える必要がありました。燃料投棄システムの故障で燃料を投棄する機能を失っていたので、最大着陸重量を50トン上回っていました。エアバス機のA380では性能・着陸表を搭載しておらず、性能計算アプリケーションを使います。最初に着陸性能に影響する10個のアイテムを入力すると、計算が止まりました。これだけの数の故障では計算ができないというメッセージが表示されました。したがって我々はもう少し詳細に検討し、マイナーなものや降雨時の滑走の着陸性能に関するものなどを省いていきました。幸いなことにシンガポールは天気が良く、滑走路は濡れていなかったので着陸性能に影響することはありませんでした。3つか4つのアイテムを省くとようやくコンピュータは計算を始め、着地速度は165ノットで130mほどの追加の滑走距離が必要と出ました。シンガポールは4,000mなので基本的に止まることができるということになりました。前縁スラットも動かなかったので、重量オーバーと合わせるとアプローチスピードは非常に早く、通常より35ノット早くなりました。

他に気にかかったのは、燃料を移動できなかったため、機体の重心(CoG)が制限を超えていないかということでした。そのため我々は重量バランスのアプリケーションを使ってCoGがどこにあって、横方向のバランスが保てるかを確かめました。幸いなことに運航限界の範囲内にありました。

それからアプローチを開始しました。さまざまな操縦機能を失っていたので、ふらっぷを動かす度にコントロールチェックをすることにしました。この時操縦していたリチャードはフラップの第1段階を選ぶと、機体を動かして機体が操縦可能であることを確認し、それをFlap3までやりました。それからランディングギアを自重で下ろして、フライトコントロールチェックを行ない、飛行できることを確認してから管制にアプローチの準備ができたと告げました。それから距離20マイル、高度4,000フィートからアプローチを開始しました。天候は良く、も穏やかだったこともあり、アプローチは成功しました。

記者:ゴーアラウンドして燃料を使って重量を軽くするという考えはなかったのですか。
機長:あの様な状況では早く機体を着陸させたいと思いました。あの時点ですでに2時間あまりを空中で費やしており、空中に長くいればいるほど燃料のバランスが不均衡になっていました。滑走路で止まれることは分かっていましたので、必要以上に空中にとどまる理由はありませんでした。
〔続く〕
(12/6 Aerospace Insight)

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A380エンジン爆発事故 - パイロットのインタビュー(2) [エアバス]

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コックピットで非常事態処置をするハリー・ウーベン路線チェック機長

記者:どのようにして問題に気づいたのですか。数多くのメッセージが出たはずで、その中から特定をした方法は。
機長:最初は当然、異音で何かが起こったと気づきました。第2オブザーバーシートに座っていた私からはその時は計器類がよく見えませんでした。立ち上がって副操縦士の肩越しから見ると、第2エンジンに明らかに大きな問題が起きていました。出発してすぐにたくさんのECAM(Electoronic Centralized Aircraft Monitor)メッセージが出ていました。最初は'Engine 2 Turbine Overheat'でした。これはスラストレバーをアイドルに戻し、30秒間待ってタービン温度が落ち着くのを見ます。この30秒の間にメッセージは一瞬'Engine Fire'に変わり、また'Turbine Overheat'に戻りました。これで時間セットはさらに30秒間延びます。副操縦士はストップウォッチをセットし、30秒たったのがはっきりしたので、我々はECAMの指示にしたがってエンジンをシャットダウンしました。

記者:これだけの人数がコックピットにいるとき、問題に対処する際の責任分担はどうなるのですか。
機長:エアバスのシステムではPilot Flying (PF)とPilot, Non-flying (PNF)がいます。機長のRichard de CrespignyがPilot FlyingでECAMアクションの初動をとりました。Pilot Flyingとしてレスポンスをコールし、機体の操縦と無線を担当しました。副操縦士がアクションをとり、チェックリストを実施します。我々の役割は、私はコックピットのオブザーバーとして文字どおり脇役で、対応を見ていました。
記者:事故の後、機体の操縦性はどうだったのですか。もし同じことがもっと遅く空港から離れたところで発生していたら、システムは停止したと思いますか。


Wing-view.jpg

爆発後の翼の様子。手前の穴がまだ見つかっていないタービンディスクが突き抜けたところ。

機長:そうは思いません。これが飛行中のもっと後に発生したとしてもあまり変わりはなかったと思います。やらなければならないチェックリストがいっぱいあり、エンジン爆発後60秒の間に43のECAMメッセージが表示され、その後も10個くらいが出ました。したがってこれらを一通り確認して、状況に応じて一つ一つ対応するのに2時間以上を費やしました。後ろの席にいた我々の役割は、一つ一つをやっている間に、深刻な問題に対処することでした。我々はCRM(Crew Resource Management)プロセスに入っており、その手順を進めるかどうかを提案する立場にありました。燃料のメッセージのいくつかの場合、我々は明らかに損傷を受けている翼については、燃料を移すためのクロスフィードバルブを開けないことに決めました。
記者:次に何が起こりましたか。メッセージに一つ一つ対応して、回復操作と空港に戻るまでを教えてください。


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A380のグラスコックピット
中央最上部のパネルで正常作動しているのが第3エンジンだけであることが分かる。第2エンジンは爆発し、第1と第4エンジンはDegradeモードで作動している。

機長:時間は2時間ほどだったが、あっという間に過ぎました。明らかに機体にダメージを受けている状態で、まずやらなければならかったのは乗客を落ち着かせるためのアナウンスで、私が最初のアナウンスをしました。それから客室乗務員と連携して落ち着きを保つために、何をやっているかを出来るだけ伝えるようにしました。結構な時間がかかるのはある程度分かっていたので、出来るだけ伝えるようにしたわけです。先ほど言ったように、最初に対応したのはエンジンオーバーヒートで、エンジンを停止しました。停止する過程でECAMは’損傷があったか’どうかの選択肢があり、もちろん’損傷があった’方を選んだため、消火器を作動させ、火災停止スイッチでエンジンを止めることになりました。しかしながら消火器が作動したかどうかを確認することができませんでした。その後も配線の損傷で表示が出ないものがいくつもあった。あとで分かったことですが、ひとつは作動し、バックアップのもう一つは作動しなかったようです。

〔続く〕

(12/6 Aerospace Insight)

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